FC2ブログ

あの虹のむこうに行こうと君はいった⑦

こんにちは。
お盆休みが終わりましたねー。今日からお仕事再開って方も多いのでしょうか?うちの相方も今日からお仕事に行ってくれて、私はほっと一息ついてます。
さて、ガッシュ10月号の発売までひと月を切り、みなさまの心は既に新章に向かわれてることでしょう。私もサラリーマン森永君を妄想してはキャ(/ω\*))((*/ωヽ)ァァとなる毎日。
あんなカッコいい新入社員が入って来たら、絶対他部署のお姉さま方が職場まで見に来ますよね?
食堂とかだと衆人環視のなか、ランチを食べることになっちゃって落ち着かないよね?
通勤でも女性専用車両かよ!ってツッコミたくなるほど森永君の乗る車両は女性ばかりで混んじゃいますよね?だから毎日車両を変える森永君・・・・(萌´д`)モエェ↑
こんな妄想ばかりして毎日とても楽しく暮らしてます。暴君ありがとう!!

そして今日も連載の続き。
多分ね、20話位になるわこのお話(つまりまだ書いてる ○| ̄|_)。








 詳しい話はイソガイからきくように、という王の言葉を合図に、ソーイチ達は王の政務室を出た。
 自室に戻る道すがら、イソガイがそう言えば・・・と切り出す。
「ソーイチ様、何か陛下にお話しされたいことがおありだったのではないですか?」
 あっ!と思ったが時すでにおそし。三人はイソガイの執務室のすぐそばまで帰って来ていた。
 流行病の原因について急いで相談したいと考えていたが、今から引き返す気にもなれない。ソーイチはまた後日にすると告げた。今はなにより、間近に迫った自分とアンカシェルとの婚儀について話を聞かねばならない。それにしても、婚儀まであと1週間しかないとは酷い話だ。ソーイチは気楽そうに笑っていた父の顔を思い出し、また不愉快な気分になった。





 全速力で駆けるソーイチには、慌てて廊下の端に避ける官吏や何事かと自分を振り返る女官たちの姿など、なにも目に入ってこない。
 ただ、先刻イソガイから聞かされた話だけが、ぐるぐると頭の中で暴れ渦巻いていた。





 王との謁見の後、ソーイチとアンカシェルはイソガイから婚儀の段取りについて説明を受けた。
 イソガイによると準備はもうほぼ全て整っており、後は式当日を待つばかりなのだという。
「オレは何もしなくていいとはいえ、結婚する当人に1週間前まで何も説明がないとかおかしいだろ?」
 ソーイチは不満をぶつけた。あの場では言えなかったことも、ここでなら口にすることができる。彼が最も信頼を寄せ、安心できるたった二人しかいない人の前なのだ。
「アンカシェルも知ってたんだろ?なのになんで何も言ってくれなかったんだ?オレ達二人の事なのに」
 恨めし気に言ってみたが「それが神官長さまからのご指示でしたので」と、にこりともせず返された。
 よそよそしい態度を訝しみ、ソーイチはアンカシェルをまじまじとみつめたが、それ以上何も答えるつもりは無いようで、おし黙ったまま隣に座っている。
 突然おとずれた奇妙な沈黙を破るようにイソガイが口を開いた。
「・・・・婚儀当日の流れは以上のようになりますが、ここまでで何かご質問はおありでしょうか?」
「じゃあ一つ良いか?アンカシェルは婚儀が終わり次第、祈りの塔に行くんだよな?」
「はい、さようでございます」
「オレも一緒について行ってもいいか?」
「ソーイチ様も・・ですか?」
「ああ、新婚旅行代わりにいいだろ?オレも祈りの塔には行ったことないし。ついでだからこの機会に見ておきたいんだ」
「それは無理ですね」
「なんでだ?いいじゃないか新婚旅行だぞ?」
「ソーイチ様は新婚旅行にお行きになりたいのですか?」
「ああ、行きたい。オレはニャゴヤを出たことが殆どないからな。祈りの塔に行く道すがら、アンカシェルと二人で温泉を巡るってのもいいだろ?」どこかウキウキとした口ぶりであった。
「大変に心踊る計画ではございますが、それは次回のお楽しみにとっておいてくださいませ」
「次回ってなんだよ。オレは、いま、アンカシェルと行きたいんだよ!」
 温泉旅行の計画をイソガイからぴしゃりと撥ねつけられ、ソーイチは不満を露わにした。
「残念ですがお諦めになってください。婚儀が終わり次第、ソーイチ様にはやって頂かなければならない事が山とあるのですから」
「・・・ちっ、しょうがないな」
 イソガイのにべもない返事に鼻白みながら、アンカシェルを振り返った。「ところでお前はいつこっちに帰って来るんだ?」
 ソーイチがそう訊いた途端、執務室内にふたたび沈黙が落ちる。
「イソガイ?」
 不思議そうに自分を見つめるソーイチに、イソガイはつめていた息をふぅと吐き出した。

「―――アンカシェル様は・・・・・・・」





 いったいどういう事なんだ!
 アンカシェルに二度と会えなくなるなんて、そんなこと認められるわけないだろ!



 再び王の政務室の前に着くと、乱れた息もそのままノックもせずに中へ飛び込んで行った。

「父上!お話がございます!」

 室内にはまだ王の他、政務室長などさきほどの面々が残って同じテーブルについていた。
 突然の侵入者に咄嗟に王を背後に庇った政務室長は、それが彼の息子だと分かると、ほっと肩の力を抜いた。
「何事ですか、突然に無礼では有りませんか!」
 神官長のミヨシが声を荒げた。他の者たちも一様に心配そうな視線を向けて来ている。
「父上、アンカシェルが婚儀後すぐに祈りの塔へ行き、二度と王宮には帰って来ないというのは本当ですか?」
 ばたばたとソーイチのあとを追ってイソガイとアンカシェルも駆け込んできた。二人とも青い顔で息をきらしている。
 王はソーイチに痛ましいような視線を向けた。
「アンカシェルの話はもうイソガイから聞いたのだろう?その通り、この王宮には戻ってこないよ。彼は巫女として祈りの塔に行くのだからね」
「だけど祈りの塔にある島から一歩もでてはいけないなどというバカげた話はなんですか!おまけに神官以外は島に渡ってもいけないなんて。それではオレはもう二度とアンカシェルと会えなくなるってことじゃないですか!」
「そういうしきたりなのだ」王が言った。
「アンカシェルは婚儀が終わればすぐに祈りの塔に移り、そこで一生を過ごすことになっております。すべては神と王との橋渡しとなるため、この国に生きる民たちの国母となるため、いにしえより続けられてきたしきたりなのです」
 割って入ったミヨシの諭すような口ぶりがソーイチの癇に障った。
「そんなの幽閉と一緒じゃねえか!ふざけたこと言ってんじゃねえよ!」
 誰もふざけてなどいません、と、ミヨシの顔がムッとしたように歪む。
「幽閉とは穏やかではありませんな。アンカシェルとなって祈りの塔に籠ることは、神官の家で生まれた者にとって一番栄誉なことなのですよ。アンカシェルに選ばれた者は、特別な存在としてまだ小さな頃よりそのための特別な教育を受け、修行をし、巫女となる準備をしてきたのでございます。そうして長い準備期間を経てやっと誰よりも神に近い存在となれるのに、それを嫌などと思う者がおりましょうか?」
 何をバカなことを言っているのだといわんばかりのミヨシの態度が、ソーイチの怒りにますます油を注ぐ。
「それはお前がそう思ってい・・・」
 ソーイチが食ってかかろうとしたとたん邪魔が入った―――イソガイだ。
 イソガイは自分の身体をぐいっとソーイチの前に割り込ませた。
「陛下!私の説明の仕方が悪かったようで申し訳ありません。もう一度きちんとご説明さしあげ、ソーイチ様に納得して頂くようにいたしますので、どうかお許しくださいませ」深々とした礼をしたのち頭を上げると、ソーイチの肩を抱いて強引にこの場から連れ去ろうとする。
「おい!オレはまだ・・」ソーイチは抵抗を試みたが、イソガイのきつい視線に気圧され口を噤んだ。
「それでは、会議中にたいへん失礼いたしました」
 慇懃な態度で再び頭を下げると、イソガイはソーイチを引きずるようにして政務室を出て行った。
 王はまだ何か言いたげな我が子の姿をずっと見つめていたが、その視線をふっとうしろに移した。
 アンカシェルに向けられた王の瞳には、明らかに悲しみが浮かんでいた。
スポンサーサイト